腎・泌尿器科

腎・泌尿器科について

腎・泌尿器科は、腎臓・尿管・膀胱・尿道などの疾患に対応する科目です。
尿は腎臓で濾過され、尿管を通って膀胱に貯められた後に尿道を通って体外へ出ていきます。ワンちゃんやネコちゃんは慢性腎臓病や膀胱炎などの腎泌尿器疾患が頻繁に認められ、腎泌尿器の健康状態を維持することは⻑生きする上で非常に重要なことです。
腎泌尿器の病気の症状として、おしっこの回数・量が多い、おしっこをしない、血尿などの尿トラブルから元気食欲の低下、毛づやの悪化、体重減少、嘔吐などの全身症状と多岐に渡ります。
なかには緊急を要する場合もあるので、自宅で様子を見るのではなくお早めにご相談ください。

当院には腎・泌尿器科の
認定医が在籍しています

院⻑

YUUYA AKASHI

当院の院⻑は獣医腎泌尿器学会の認定医であり、日々数多くの腎臓・尿管・膀胱・尿道・前立腺などに関連する疾患の診療を行ってまいりました。ワンちゃん・ネコちゃんともに腎・泌尿器疾患は多く見られ、症状も多岐にわたります。また、命に関わる緊急性の高い病気も多いです。
症状から、問題となる臓器や病気を特定するために注意深い問診と身体検査を実施し、より専門的な検査および治療を実践しています。よく見られる慢性腎臓病や尿石症に関しても、その子に応じて必要な治療方法は異なります。そのため、科学的な根拠に基づいた治療方法をご提案いたします。
早期診断によって病気の状態を詳しく把握し、早期から対応する事でご家族の健康寿命を伸ばすことが可能です。腎臓、泌尿器にお悩みを抱えている飼い主様はぜひ当院にご相談ください。

代表的な腎・泌尿器科の
病気

  • 慢性腎臓病や尿路結石などが代表的な病気です。
    腎泌尿器疾患は自宅でのワンちゃん・ネコちゃんの様子を毎日確認する事が非常に大事になります。
    当院ではさまざまな腎泌尿器疾患の早期発見のための検査から、内服治療、食事指導、生活指導などの自宅でのケアも含めた総合的な治療を行っております。

  • 慢性腎臓病(CKD)

    慢性腎臓病は、加齢や慢性尿路感染、繰り返す尿路閉塞、遺伝病など様々な尿路の病気によって腎機能が徐々に低下していく病気です。急性腎障害から慢性腎臓病に移行することもあります。症状としては、嘔吐、食欲不振、体重減少、多飲多尿などが現れますが、軽度の腎機能低下では基本的に症状が現れることが少なく、症状が現れた段階ではすでに進行していることが多いのも事実です。慢性腎臓病の初期段階から、腎機能を悪化させる可能性のある高血圧、脱水、タンパク尿、ミネラル代謝異常などに適切に対処し、これ以上の腎機能悪化を防ぐ必要性があります。治療は食事療法を軸に内服薬、サプリメント、点滴、食欲増進剤などを組み合わせて行います。慢性腎臓病の治療は病期に応じて必要な治療が異なりますので、まず腎臓病のステージをご理解していただき、治療内容に関してしっかりとご説明させていただきます。

  • 急性腎障害(AKI)

    急性腎障害は、短期間で急激な腎機能の悪化が認められ、尿の産生が減少して命に直結する極めて恐ろしい病気です。
    脱水や循環障害、感染症、中毒物質の誤食、薬剤の投与などさまざまな原因で発症する可能性があります。
    急性腎障害はまず原因を特定し、その原因を除去することが大切ですが、原因が特定できない場合もよく経験します。
    まず輸液で循環を改善し、必要に応じて薬剤の投与を行い、腎障害が改善するかどうかを確認していきます。致死率が高く、治療が遅れると手遅れになる場合もありますので、何か異変を感じた際は早期にご相談ください。

  • 尿路結石

    尿の中に含まれているカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが結晶化し、結石になったものを尿路結石と言います。できる部位によって尿管結石、膀胱結石、尿道結石などと表現します。ワンちゃんが尿路結石になってしまうと頻尿、血尿、排尿痛などの症状が出てくることが多く、場合によって尿路に結石が詰まれば無尿となり元気食欲が低下し、ぐったりします。また再発も多い病気であり、一度症状が改善しても油断せずに予防に努め、定期検診でのご家族の健康確認を怠らないようにしましょう。

  • 尿路結石の治療法

    尿路結石の治療法は食事療法、内服治療と手術があります。どの方法を選択するかは、結石の位置・種類・大きさ・症状などによって変わってきます。
    ワンちゃんの尿路結石でよく問題になるのは、「ストラバイト結石」と、「シュウ酸カルシウム結石」の2種類です。このうち、ストラバイト結石は食事によって溶解することもあります。シュウ酸カルシウム結石は基本的には外科手術で摘出した後に徹底的な予防が必要になってきます。

  • 猫の下部尿路疾患

    猫の下部尿路疾患は膀胱から尿道までの下部尿路に起こるさまざまな病気や症状の総称です。この原因として特発性膀胱炎・細菌性膀胱炎・尿路結石・尿道炎・繰り返す尿道閉塞などが一つまたは複数の病気が合わさって起こります。
    膀胱炎と尿路結石は特に多いです。尿路結石は、腎臓から尿管、膀胱、尿道の中に結晶や結石ができる病気で、膀胱や尿道を傷つけたり、尿管や尿道に詰まったりします。何もせずに様子を見ていると治療が手遅れになることもあるので、以下の症状があれば早めにご相談ください。

  • 猫の下部尿路疾患の症状

    • トイレに行く回数が増える
    • おしっこが少ししか出ない
    • 血尿が出る
    • おしっこが濁る
    • トイレ以外の場所で粗相をする
    • 落ち着きがなくなる

    その他、排泄に伴うさまざまな症状が見られます。
    また、膀胱炎のストレスでお腹を舐めて毛が抜けてしまうネコちゃんもいます。

  • 前立腺肥大

    年齢とともに前立腺細胞が肥大していく状態です。前立腺は尿道を取り囲むような形をしており、精液を作る働きに加え、射精時の収縮や尿の排泄を補助する役割があります。
    主な症状として、排尿回数の変化、血尿、排便障害などが挙げられます。前立腺肥大の予防には、去勢手術が効果的です。
    また、治療に関しても前立腺肥大は去勢術で症状の改善が期待できます。
    放置しておくと前立腺部分に感染が起き、前立腺膿瘍と呼ばれる命に関わる感染症を起こすこともあります。

腎・泌尿器科の診断・検査

  • 腎・泌尿器の疾患は、障害を受けている臓器によって症状が異なります。
    まず問診で大まかな状態を把握し、以下の検査を複数組み合わせて診断を進めていきます。

  • 腎・泌尿器科の検査

    • 尿検査(試験紙・顕微鏡)

      試験紙や顕微鏡などを使用して、尿PH、血尿の程度、細菌、結晶、炎症細胞、尿タンパク、尿糖などの尿中成分を確認します。

    • 尿検査(尿比重)

      尿比重計を使用して、尿中成分の状態を実数で測定します。

    • 尿検査(UPC)

      尿タンパク-クレアチニン比は腎臓病を診断、治療していく上で非常に大切な項目です。UPCが高値の腎臓病は進行が比較的早いと言われており、数値を下げるための食事変更や薬剤治療を考慮する必要があります。

    • 血圧測定

      腎臓病では高血圧になりやすく、高血圧は腎機能の悪化を促進させることが明らかになっています。
      高血圧があれば適切な薬剤を使用して血圧の正常化を目指します。

    • 血液検査

      血中尿素窒素(BUN)やクレアチニン(Cre)、SDMAなどの腎機能マーカーの測定や、リン(P)、カルシウム(Ca)、FGF-23などのミネラル代謝異常、貧血の評価などが可能です。

    • 超音波検査

      腎臓、尿管、膀胱、尿道の構造、炎症の程度、結石の評価などを実施することが可能です。

    • レントゲン検査

      腎臓や膀胱の大きさや形態、結石の確認をすることができます。
      必要に応じて造影剤を使用することでさらに詳細な評価が可能となります。